代表の挨拶

伝統と革新、そして持続可能なものづくりを

平素は皆様に大変ご愛願を賜り感謝申し上げます。

当社あざみ屋は、沖縄の日本本土復帰直前の1971年に織物事業所として創業しました。復帰と共に島は大きく発展してきた訳ですが、当時、本土からの多くの資本流入の予兆が感じられていました。その様な中で、地元の手で地場の独自産業を興すことに意義を見いだし、伝統工芸である八重山みんさー織の産業化を図ったのでした。以来、現在も、その志を繋いで事業を継続して半世紀余り、精進を続けているところであります。

最大の特徴である「いつ(五つ)の世(四つ)までも末永く」という、みんさー織の絣柄モチーフを大切にし、帯類や、衣類、インテリア雑貨・小物など、現代のライフスタイルにあった「ものづくり」取り組んでおります。

特に2000年沖縄サミット以降の近年は、夏のご当地ウエアとしての、みんさーウエアは地域のブランドとしてご愛用頂いております。また、地域の文化観光資源として観光客の皆様にも親しまれております。

創業当時から、伝統を守りながらも常に新しい製品づくりに邁進し、お客さまからの声に耳を傾け、お客さまに満足して頂ける製品提供を続けて、現在までお客様と共に歩んでこれた事を大変感謝しているところでございます。今後も地域織物の産業化と共に織物文化の振興・発展を目指し、工芸品としての美的価値を有しつつも、生活の中に使えるものづくりに努めて参ります。

かの有名な松尾芭蕉の「古人の跡を求めず、古人の求めたる所を求めよ」とは、「古人の抜け殻を追い求めるのではなく、古人の理想としたところを求めよ」の意とのことでありますが、「古人の理想としたところ」とは「その時代時代にあった新たな要素を模索・追求すること」だと考えます。ですから、先人たちが築いてきた伝統は、伝統を大切にしつつも、新たな革新を起こしてきたからこそ伝統が守られ引き継がれてきたという考えを基にし、「伝統と革新」を目指したものづくりをして参りたいと思います。

現在、コロナ禍の長いトンネルを抜け出て、改めて色んな意味での「繋がること」、「繋げること」が大切であると感じます。それは、ものづくりを通じて、ひとづくりは必要且つ最重要な取り組みであると思います。また、環境(社会)づくりとして、世界的な取り組みである持続可能な開発目標(SDGs)にも取り組みも出来ることから取り組んで参ります。その事が八重山みんさー織が生まれたこの八重山の美しい自然やあらゆる環境にとって、少しでも保全・維持・回復に繋げられるとの想いからであります。

そして、私どもの作る八重山みんさー織が次世代へ「いつ(五つ)の世(四つ)までも末永く」繋がることが最も幸いなことであると思っております。

新 賢次 (Kenji Ara)
株式会社あざみ屋
 代表取締役社長

守り育てる気概を持って

独自の伝統織や芸能が現代に継承され息づいている八重山文化の中で、織物は古くから単なる人間の体を保護するだけでなく、『魂を守る役目を果たすもの』と考えられてきました。「五(いつ)四(世)」の絣に想いを込めた「八重山みんさー織」は、そのような八重山の精神文化が育んできた産物であり、これからも未来へと継承していかなければならない文化遺産であります。
そのためには「守り・育てる」気概を持って、暮らしの中に多く取り入れられる”ものづくり”を目指すと同時に、育まれた精神性を大切にしながら、丹念に作っていきたいと考えております。

新 絹枝 (Kinue Ara)
みんさー工芸館 館長
『現代の名工』

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